滋賀県隊友会

安全保障政策の裏側(歴史勉強会)

2月13日 大阪KKRホテルにて、河野前・統合幕僚長の講演に参加しましたので、その講話の中から、2011.9.11「同時爆破テロ」の事を綴って行きたいと思います。

2011.9.11「同時爆破テロ」の当時、横須賀には、空母「キティホーク」(米海軍には、空母は現在11隻)が停泊中でした。世界広し、と言えども米国が海外に母港を置いているのは、日本だけなのです。 『一刻も早く緊急出港したいので護衛艦で護衛してくれ!』と緊急連絡が入りました。 一体何故なのか? 我々は、横須賀港内に停泊していた方が安全だと思いがちだが… 地域には羽田空港が有り、上空では、四六時中、旅客機が飛んでいる。飛行中の旅客機がハイジャックされて、針路を変え…停泊中の空母にめがけて狙われる危険がある。
あの時、米国内では、貿易センタービルが破壊され、米国防総省も攻撃され、ホワイトハウスも狙われた。
日本でも、民間機になりすまし空母めがけて攻撃して来るのでは?との米国側の危機感です。
空母艦載機は、厚木に駐機しており(現在は岩国)これでは、攻撃・防御力が皆無状態である。当時の米国は、民間機であっても、誰も信じられないと言うパニック状態でした。

ところが、緊急護衛出港においては、日米同盟で、出港で米軍を護る根拠が法律に無い(米国はこの国内規制を知らない)と、内局からの通達があり、身動きが出来ない中・・・防衛庁設置法の4条に「調査・根拠法を研究監査」と言う名目において、この法案を利用し、中谷 元 防衛大臣 と、討議後、「あまぎり」「しらね」の護衛艦2隻で、空母「キティホーク」の前後を護り、水平線の向こう…地上から見えない海域迄、護衛出港しました。
当時の福田官房長官は、『この行動を聞いていない!』と言い、小泉総理も『聞いていない!』と言い、一体・・何故なのか? どうやら、官邸内局の不手際から、連絡が届いていませんでした。
帝国海軍出身の元・中曽根総理は、海上自衛隊の独行と執られ激怒状態、マスコミは、海上自衛隊の単独行動と揶揄し続け、流石にこの時は、もう河野統合幕僚長も懲戒処分を覚悟したとの事です。
ところが…
米国のCNNやABCやFOX 各TV局が、空母の前後を自衛艦に護衛され出港する映像が、米国内で度々発信されます。
米国民が涙を流して、日本国(海上自衛隊)の姿を喜び、日本政府宛に、米国民から感謝の言葉が続きます。
集団的自衛権で、米国を護衛する事に、ホワイトハウス・国務省・在日米大使館からも、感謝のメッセージが次々と官邸に寄せられ、それから『日本は変わった』と米国民からは、称賛され、日米同盟が更に強固となりました。

講師 河野 克俊
1954年(昭和29年・北海道生まれ)昭和52年防衛大学機会工学科卒業後、海上自衛隊入隊。第三護衛軍司令、佐世保地方総監部幕僚長、海上幕僚部総務部長、防衛部長、掃海隊群司令、海将に昇任し護衛艦隊司令官、統合幕僚副長、自衛隊司令官、海上幕僚長を歴任。平成26年、第五代統合幕僚長に就任。三度の定年延長を重ね、在任は異例の4年半に渡った。平成31年4月退官。川崎重工業(株)顧問

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