修了式の夜 (回想記)

修了式の夜

今、思い返せば、もう40年以上も前の話ですが、会員の声として一読いただければと思います。

私は、山口駐屯地(第112教育大隊第319共通中隊)で、前期教育課程を修了しました。
修了式を終えた夜、班長(助教)が、深夜0時頃に、みんな爆睡状態にも、関わらず就寝中の営内室(班)の電気を点けて、全員が起こされました。
『お前ら起きーっ 起きろーっ!』
班長は、外出帰りで、程よくお酒を飲んでいました。
班長の両手を見ると、見るからに高い高級な御寿司を、11人分買って床に置いて、あぐらをかいて着座していました。
みんな起きて、それぞれが床に着座 班長が
『食べろ、いいから、食べろ!』

普段外出でも、こんな高級な御寿司は、絶対に口にしません、そして、みんなで、班長を囲んで食べました。すると班長が…

『うまいじゃろぉ~のう…でも、明日からは、もう、お前達の顔をそろって見れんのじゃ…』
(それぞれ、関西の部隊や、北海道の部隊など、別の任地へ旅立っていく)

『この3カ月の間、辛い事もあってじゃろう、苦しいこともあったじゃろう、腹を抱えて笑うこともあったじゃろう!』
『お前達は、基本教練中隊検閲で、『優秀』をこの教育大隊創立で、初めて受けたんじゃ、凄い事なんじゃ!凄い事なんじゃ!』

『でも、もう、みんな揃って見れんのじゃ…お前達は、本当によう頑張ったぞ!』
と…(班長も皆、明日の惜別に涙目状態でした。)

同期の一人が、涕泣で…
「班長、寿司ぶち(凄く)美味しい…でも、班長…わさびが多い…涙がでる」
私も
「そうじゃ、多いなぁ、わさびが…わさびが多いんじゃ…」
と・・

班長との忘れられない夜でした。別れ前夜に、あんなに、目頭が熱くなった、わさびの効いた御寿司は、今でも食べた事はありません。

もう遠い思い出ですが、今日修了式を終えた新隊員が、今度は、班長/助教となって、
自分が手塩をかけて教育した隊員に、いつの日か、高級な御寿司を振舞ってやって欲しいなぁ…と、あの頃を思い出します。