滋賀県隊友会

自衛隊の災害派遣に関するTV番組報道について一言二言・・

某TV局のワイドショーを視聴中に「自衛隊の災害派遣について・・」の話題が出ました。私の聞き間違いかもしれませんが解説委員なる人が「阪神淡路大震災を契機に自衛隊が本格的に災害派遣するようになった・・?」と解説???言葉足らずでは??ずーっと前から自衛隊法で災害派遣は規定されていますよね。三十数年の在職間幾度となく出動した経験があります。阪神淡路大震災を契機に要請を待たずとも「自主派遣」が条件付きで可能になったと説明して欲しいです。このことは以下の話に繋がりますが・・・番組内で変化する国際情勢に基づき防衛計画の大綱見直し等で部隊の人員が削減されているとの解説が有り、そこで登場した某自治体の防災担当者と思しき人物が、「自衛隊が第〇✕隊の人員を削減するのは人力で行う災害派遣に影響が有るので困る??」というようなニュアンスの堂々たる正論??を述べておられました。この方は某自治体を代表したご意見だったのか?はたまた私見だったのかはご本人からお断りが無かったのでわかりませんが失礼ながらこの方は自治体の防災担当者として自衛隊についての知識や認識はどの程度お持ちなのか?災害派遣活動の実態について現地に進出し自分の目で確認した経験はおありなのか?近年多発する各種災害における自衛隊の災害派遣活動をTV報道などでご覧になり自衛隊の災害派遣活動の本質を認識された一般市民の方からはこんな発言は少ないと確信します。
自衛隊の災害派遣は、自衛隊法に基づき要請又は自主派遣、特異例として近傍災害派遣が有りますが、基本的に要請を受けて初めて行動開始するのではなく、事態を承知した段階から情報活動や基本的な準備を開始していつでも対応できる体制を整え、要請又は自主派遣により速やかに出動し、まず第1優先である人命救助、並行して応急生活支援(避難、給食、給水、入浴、物資輸送、道路啓開等々)を行い終末段階では状況により瓦礫処理や応急道路復旧等の応急復旧活動支援を行うのが一般的ですが、活動の基本は部隊行動でこれを行うこと即ち自治体等との調整により自衛隊がその要領や部隊区分等を自ら定めて活動も自らの状況判断の基にするもので有って、隊員個人単位の活動はありえないもので有り決して作業員を自治体に提供しているわけでは有りません。、組織的活動をするからこそ任務を達成できるもので有ります。状況によっては資器材にしろ、人員にしろ必要とあらば東日本大震災のように全自衛隊を動員しても必ず任務を達成します。決してその場の頭数で隊員を派遣しているわけでは無く全て綿密な状況判断によって活動しているのです。「とりあえず頭数だけいれば良い・・・少ないと困る???」何を根拠にこんな思考が出るのか???です。中には自ら又は家族が被災していても任務第一で現場で懸命に活動する自衛官を頭数論議で片づけるということは冒瀆そのものでOBとして怒りを禁じ得ません。思い出話ですが、派遣活動中の隊員がとある公園を通りかかった際に、そこでテントを張って避難していた被災者から「水も食料も無く救援物資も何も届かないんです。何とかなりませんか。」と懇願され、部隊に報告し、部隊はその地域を管轄する某役所に連絡すると「彼らは指定避難所に行かず勝手に避難しているので救援物資や食料なんて配分対象にしてません。自衛隊はつまらないことを聞いてきていちいち連絡しないでください。自衛隊に責任取ってもらいますよ・・・」というニュアンスのきついお叱りを受けたり、他方面隊からの入浴支援部隊が到着する予定の地域の某役所に地域担当部隊の然るべき地位にある者が調整に赴いたところ、上司どころか窓口の係員が「どんな設備でどれだけの入浴が出来るのか?」との御下問、基準能力と一人当たりの基準時間短縮などの方策による概ねの能力を説明したところ即座に「入浴したい人の数は圧倒的に多いし、短い時間で済ませなんて統制もできないから住民に不公平になり役所が吊るし上げられる可能性もある。うちの地域にそんな厄介なものを頼みもしないのに持ち込まないでもらいたい。」とのお言葉・・・窓口でガチョンですごすご帰るわけにもいかず「責任の有る役職の方に取り次いでもらいたい。」旨要求するも「皆忙しいのでそんなことに構っておられない。」と拒絶されたり、或いは又「自衛隊の炊き出し給食は危険なので食べてはいけません。」などと云うチラシがどこからかまかれたりと思い出は尽きませんが、当時うわさされた某自治体の要請遅れ原因については私も高齢者となり記憶も薄れた為敢えて確信が無いと申し上げますが、阪神淡路大震災までは自治体の防災訓練にもお呼びが無い場合も有ったり普段からの意思の疎通は必ずしもいいとは言えず、「日本の軍国主義化??反対、自衛隊は武器を捨てて国土建設隊に衣替え・・・」などと云う正論?を奉じていた時代からの引きずりが有る地域もありましたので・・・阪神淡路大震災災害派遣の渦中にあった者として今回の頭数ご発言はなんとなく理解出来るような気がします(笑)

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